アウトドアマガジン BE-PAL 8月号に「植村直己と山で一泊」が特別付録となっています。以前に小学館から発売された同名の書の復刻版とのことです。
200ページ以上のボリュームで付録とはいえ存在感があります。
ビーパル編集部の企画で植村氏と山でキャンプをしながらのインタビューが本書の内容。サブタイトルは「登山靴を脱いだ冒険家、最後の世間話」となっています。
実は1ヶ月ほどテーブルの上に放置されてまして、最近になりようやく開いたところ引き込まれてしまいました。
冒険家 植村直己、北極を犬ゾリで走破。本書を手にする前に記憶に残っていたのはそれだけ。著作も読んだことがありませんので、植村直己について知る最初の一冊でした。
「冒険=生きるための行動」
冒険中の努力や苦労、裏話的な話はアウトドア好きには興味深いです。人間って、ここまでできるんだと感じること数回。誰でもできることではなく、植村直己だから乗り越えられたと思うこと数回。「生きる」ための極限状態が伝わってきます。
聞き手は植村氏の指名による湯川豊氏。気心知れた同士のリラックスしたインタビューだからこそ語った?と思われる世間話や雑談もあって、素顔が垣間見れるようで楽しく読み進めました。
一読後は、大冒険という行動スケールの大きさから、自分の存在の小ささを感じてしまいます。
冒険を成し遂げるための準備に多大な時間を割いていたことが印象に残りました。成功のために周到な準備をする。準備したからこその成功なのでしょう。
原稿を書くのが大嫌いだったという植村氏。しかし、自分の思いや冒険の記録を文章や写真、ビデオで克明に記録。記録しなければ、痕跡がどこにも残らないということを意識されていたようです。記録の内容こそ違えど、毎日を記録する自分の行動と少し重なったように思いました。
1984年2月 世界初のマッキンリー冬期単独登頂に成功後に消息を絶ってから29年。本書のインタビューはその前年。長い年月を経ても、偉大な冒険家の言葉は色褪せることなく響いてきました。
オリジナルの「植村直己と山で一泊」は入手しにくいようですが、BE-PAL 8月号を注文すれば、復刻版が手に入いると思います。あなたのライブラリにいかがでしょうか。